海軍カレー
最近の朝御飯はサンドイッチが多い。
具はレタス、キュウリ、トマト、ハム、チーズ。野菜たっぷりでヘルシー。それにトワイニングのアールグレイに牛乳を入れたミルクティが定番。全部我が家の専業主夫、bungoくんがつくってくれる。そのうえ、マグカップはお湯で温めてから使うし、朝御飯の後にシャワーを浴びてくると氷が入っていてアイスティになってるし、至れり尽くせり。
嬉しいけれど少し恐い。
もし立場が逆だったら、ここまで要求されたのか、無理。
良かった、定職があって、そこそこ給料をもらっていて。
bungoくんは2013年まで大企業に務めていた。お給料も私より沢山貰っていた。でも、凄くハードな仕事で年金が出る年数に達したのを期に早期退職したのである。
私がbungoくんと出会った時、私はクライアント、彼は受注業者だった。お互いの仕事についてよく知っているし、彼が辞める理由もよくわかった。だから、退職には賛成した。ただ専業主夫になるとは思わなかった。昭和の男なので抵抗があるだろうし、自由になるお金がないことに耐えられないんじゃないと思っていたから。
同棲当初は全く家事をせず、家にいてネットとゲーム三昧。しばらくして料金が払えなくなったみたいでiPhoneを解約。これは私が気がつくまで黙っていた。そして煙草を買ってきてと頼まれるようになり、持ち込んだMacBookもいつのまにかなくなり。でも掃除(トイレ以外)と洗濯(自分のだけ)以外の家事はせず。そんな状態を一年続けた。
転機ははマツコの番組のお弁当特集。何気なくそれを二人で見た次の日ぐらいからbungoくんのお弁当づくりは始まった。
そこからは早かった。大企業の前は飲食に勤めていたので喫茶店とバーのメニューは作れるし、皿洗いだけでなくキッチンの掃除も完璧。私より基礎力があるから本気になれば上達は早い。
そして今、朝のサンドイッチとアイスティにいたる。
bungoくんに同棲当初どういうつもりだったか、今、どんな気持ちなのかは尋ねない。答えてくれるはずがないから。
今朝、家を出る時、晩御飯はカレーと言われた。曜日の感覚を忘れないために海軍カレーにあやかるそうだ。
そうやって工夫をしていく限り私たちは一緒にいられると思う。